バアソブ(婆ソブ)

キキョウ科 ツルニンジン属
Codonopsis ussuriensis

  山野の林縁や原野にややま

 れに生えるつる性の多年草。

 葉は卵形または卵状楕円形で

 互生し、枝先では3、4枚が

 集まってつく。全体に白い毛

 が散生、特に葉の裏には多い。

 花期は7、8月で、北海道から

 九州に分布する。




 日野の自然を守る会で精力的に活動されていて、一昨年の8月にお亡く

なりになられた故片岡尤ニさんに教えられ、東光寺緑地でバアソブの花を

探して歩き回ったのは、もうかれこれ5、6年以上前のことでした。8月

の終わりで、バアソブの花期としてはもう終わりの方だったのですが、幸

いいくつか花が咲いていて、見ることができました。

 ソブとは、長野県木曽地方の方言でそばかすを意味し、花冠(かかん)

の内側の斑点を、お婆さんの顔のそばかすに見立ててつけられた名前だそ

うです。

 花はキキョウ科の他の花に見られるように、風船のような状態から先が

割れて開花します。雄しべ先熟といって、先に雄しべの葯が割れて花粉を

出し、それが終わってから雌しべが熟します。これは自花受粉、あるいは

自家受粉を防ぐためと考えられています。



 
'97.7.19 萼片が全体を覆っている


 
7.22 風船のような花冠が出てきた

 
7.24 花冠の先が割れてきた

 
8.1 開きたては花粉が出ている

※ページの最初の写真は、すっかり花粉が無くなり雌しべが活動中のもの。



 バアソブによく似た仲間にツルニンジンという種類がありまして、バア

ソブに対して、ジイソブと呼ばれることもあります。ツルニンジンの方が

花期が1ヶ月ほど遅くなります。都立平山城址公園西側の都立長沼公園に

はジイソブが結構見られますが、日野市内では見られないようです。

 よく似ていますが、バアソブに比べ全体に毛が少なく、バアソブよりも

少し大きめです。両方ともユリやノハナショウブなどと同じ刮ハ(さくか、

またはさっかと読む)ですが、ジイソブの種子には翼がついていて風に飛

ばされるのに対して、バアソブの種子には翼がなく、キャビアのような黒

い種子が詰まっています。

 ちなみにツルニンジンの名は、下の写真のように根がチョウセンニンジ

ンの根に似ていて、つる性だということからつけられた名前だそうです。

どちらもクズやヘクソカズラなどのような強い繁殖力はなく、花を見るこ

とはそう多くはないようです。



 
'99.9.14 花もバアソブよりも大きい




 
ツルニンジンの根。これはある
施設内で、場所の悪い株を移動

させた時に撮影したものです。


※解説文の作成にあたっては、主に山と渓谷社発行のポケット図鑑
 1・2・3、山渓ハンディ図鑑1・2を参考にさせて頂いています。


※このホームページをご覧になったご感想、ご質問、情報、ご意
見などございましたら
「みどりの掲示板」にお書き込みください。