ハナイバナ
(葉内花)
ムラサキ科 ハナイバナ属
Bothriospermum tenellum

道端や庭、畑などに普通に見られる高さ10〜20センチほどの1〜2年草。 花期は3〜11月で、日本全土に分布する。直径2ミリほどのうすい空色の花を 下から上へと咲かせる。茎や葉、萼などに上向きの毛が多い。
 

 
 この花を知ったのは6、7年前、市内の南平丘陵公園によく植物観察に行って いた頃でした。当時公園には、何年も前に市内の植物のほとんどを調べてまとめた 小冊子を出された播本正常さんが、園内の植物を解説して下さっていました。 その播本さんから、わたしがキュウリグサと名前をつけていた写真の花を「これは 葉と葉の間に花が咲くので、ハナイバナというんですよ」と教えて頂きました。
 1、2年草というのは、春に実った種より成長し、秋にまた開花するものがある からで、そのために花期も3〜11月となっています。
 近い仲間は、キュウリグサ、ヤマルリソウ、※ワスレナグサなどです。
 

 
 
花冠中央の鱗片の色は白い
 
ソラマメのような形をした分果
 
中央部の黄色いキュウリグサ
 
中央部の白いヤマルリソウ
 

 
 本当にキュウリグサとはよく似ているのですが、よく見ると大分違います。 まず第1に、ハナイバナは、茎の先の方にいっても、花の下に1枚の葉(包葉)が あります。それに対してキュウリグサは、くるくると巻いた花序がほどけながら順に 開花しますが、茎の先の方は花だけで葉がありません。
 第2にどちらも花の真中に鱗片(りんぺん)と呼ばれる突起物がありますが、ハナ イバナが白いのに対して、キュウリグサは黄色い色がついています。
 第3に果実が全然違います。ハナイバナはぶつぶつと小さな突起物のついたソラ マメのような4つの分果ができますが、キュウリグサはつるつるしたテトラ形の4つ の分果ができます。
 生息場所も若干ハナイバナの方が湿り気のある場所のように思えるのですが、その ことを記述している本は残念ながら、まだ見たことはありません。
 日野市内では、圧倒的にキュウリグサの方が多いようです。キュリグサはどこでも 見かけますが、ハナイバナは丘陵部や段丘崖の緑地の縁の湿り気のある場所でたまに 見かけます。
 また、ヤマルリソウは丘陵部に自生がみられますが、ワスレナグサはまだ見かけた ことがありません。もし市内で帰化しているのを見かけられましたら、ご連絡下さる ようよろしくお願い致します。
 

 
※ワスレナグサ 保育社の野草図鑑8に『近ごろ花屋の店先に鉢植 として売られているいるものは、西洋の伝説に出てくるワスレナグサではない。本当の ワスレナグサは清流のほとり、半分水に浸りながら生活するもので、近年中部地方から 東北地方にかけて所々に帰化、大群落となっているのに出会う。じつに美しい。』と あります。
 この西洋の伝説とは何か、気になるところですが、山と渓谷社の山渓ハンディ図鑑 「野に咲く花」には、勿忘草の名前の由来としてこう書いてあります。『ドナウ川の 川辺に咲いていたこの花を恋人に摘んでやろうとして川に落ちた男が、急流にのまれる 前に恋人に花を投げ、「私を忘れないで」と叫んだという伝説による。 英名は forget-me-not 』
 

 
※解説文の作成にあたっては、主に山と渓谷社発行のポケット図鑑 1、山渓ハンディ図鑑1、保育社の野草図鑑8を参考にさせて頂きました。
 

 
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