コセンダングサ (小栴檀草)

キク科 センダングサ属

Bidens pilosa

  荒れ地や河原にしばしば群生する

 高さ0.5〜1.1mの1年草。葉は普

 通3、5枚の小葉からなり対生するが、

 茎の上の方では互生する。上部の枝

 先に黄色の頭花をつける。頭花には

 舌状花はなく、筒状花のみ。そう果

 はやや平たい4つの稜を持った線形

 で、先端に下向きの刺のある3、4本

 の冠毛があり、それで動物の毛や人

 の衣服につく。花期は9〜11月。




 10月から11月にかけて日野市内の河原や区画整理中の空き地などを

訪れると、このコセンダングサが群生しているのをよく見かけます。イノ

コズチやヌスビトハギなどと並んで、草むらに入ると衣類にたくさんつい

てくる植物の種の代表選手と言っていいのではないでしょうか。

 葉の形が樹木のセンダン(栴檀)の葉に似ているのでセンダングサと呼

ばれる草本の仲間で、センダングサよりも少し小さいのでこう呼ばれるよ

うです。



 
葉の形が、樹木のセンダンに似ている
 
 
  頭花は筒状花のみの集合花
  ちょっと総苞片をはがしてみると⇒


 
下にはそう果となる分部
が既にできていた ⇒


受粉をすませると筒状の花びらが
落ちて、そう果が急に成長しだす

 
たくさんのそう果がだんだんと
成熟をし始めている頃⇒
 
左の画像を拡大したもの

 
そう果は成熟すると、真中を中心
にして広がって球形になる⇒
 
そう果にはもりのような先端とは
逆向きの刺が生えている




 キク科の植物の多くは、そう果に冠毛と呼ばれる綿毛がついていて、風に飛ば

されて遠くに運ばれるものが多いのですが、コセンダングサは鋭いもりのような

もの(植物の専門書には、これも冠毛の一種と書かれていました。)が3、4本出

ていて、それによって動物の毛や人の衣類に引っかかって、遠くに運ばれる仕組

みになつています。上手くできているものですね。

 センダングサ属にはこのコセンダングサの他に、センダングサ、シロノセンダ

ングサ、コシロノセンダグサ、アメリカセンダングサ、タチアワユキセンダング

サ(四国、薩南諸島、沖縄などに分布)などが図鑑に載っていますが、日野市発

行の「日野の植物」に掲載されている播本正常さんの調査によりますと、日野市

内にはセンダングサ、コセンダングサ、シロノセンダングサ、アメリカセンダン

グサなどが生息しているようです。わたしはコセンダングサ、アメリカセンダン

グサはよく見るのですが、他のものはまだ未確認です。数から言えばコセンダン

グサが圧倒的に多く、ついで多いのがアメリカセンダングサで、他のものは日野

市内ではわずかな生息数ではないでしょうか。



 
市内で見かけました。シロノセンダン
グサにしては白い舌状花が小さ過ぎる
のでコシロノセンダングサでしょうか。



 
アメリカセンダングサは総苞片が
大きく張り出しているのが特徴。
そう果はあまり細長くない。..



 山と渓谷社の「野に咲く花」によりますと、コセンダングサの原産地ははっき

りしないが、世界の熱帯から暖帯に広く分布していて、牧野富太郎さんによると

「明治時代には近畿地方にかなり広がっていた。」とのことで、現在では関東地方

以西の荒れ地や河原にしばしば群生している。とありました。ネットで東北地方

の方にコセンダングサが見られないかお尋ねしてみたいところです。(^^)



※解説文の作成にあたっては、主に山と渓谷社発行のポケット図鑑3、山渓
 ハンディ図鑑1、保育社の検索入門「野草図鑑」4、日野市発行の「日野の
 植物」を参考にさせて頂きました。


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