オオオナモミ (大耳) キク科
オナモミ属 |
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北米原産の高さ0.5〜2mの1年 草。1929年に岡山県で初めて見 つかり、今では各地に広く帰化して いる。葉は長い柄があって互生、卵 形または広卵形で3〜5裂し、縁に は不ぞろいの鈍鋸歯があって両面と もざらつく。雌雄異花でキク科にし ては珍しく風媒花。果実がくっつき 虫などと呼ばれてよく知られている。 花期は8〜10月。 |
日本に古くからあるオナモミに似ていて、オナモミよりも大きいことか らこの名がつけらたそうです。小さい頃は空き地によくあり、セーターな どの衣類に刺のたくさんある果実がよくくっつくので投げ合って遊んだも のでした。ところが最近はとんと見かけなくなってしまい、探すのに苦労 します。この仲間には、オオオナモミの他にオナモミ、イガオナモミ、ト ゲオナモミという種類があるようですが、オナモミ以外はどれも近年移入 してきた外来種です。市内在住で植物にとても詳しい播本正常さんの調査 によりますと、日野市内にはオナモミとオオオナモミしか確認されていな いようです。ちなみにわたしはオオオナモミしか見たことがありません。 本にキク科と書いてあるのを見なければ、およそキク科の植物だとは思 えないのですが、多くのキク科の草本とは花の構造などに色々と異なった 点があるようです。 |
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キク科のアザミの仲間などは、おしべの葯がくっついて筒のようになり、その 内部が裂けて花粉が出、それをめしべがところてんのように押し出します。めし べはその後先端が割れて、花粉を受け取れる状態になるので、自分の花粉は付か ないようになっている訳です。しかし、オナモミ属の花は、雄花と雌花と分かれ ているで、雄花には花粉を押し出すめしべがないから、葯でなく花糸がくっつい て筒のようになり、先端の葯がばらばらになって花粉をまき散らす構造になって います。 |
![]() ノハラアザミのめしべが花粉を押し出しているところ |
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図鑑に載っているオナモミ属の果実の大きさをもとに、実寸大のイラストを描 いてみました。オオオナモミの果実は刺の他には何も生えておらず、つるつるし て光沢がありますが、他のふたつは刺の他に鱗片状(りんぺんじょう)の毛と腺 毛が生えていて光沢がないそうです。 |
オオオナモミの葉の様子
![]() 葉の縁にはふぞろいの鈍鋸歯がある。 葉柄は茶褐色を帯びるものが多い。 |
![]() オナモミの葉の縁はもっと鋭い鋸歯があるので、 葉からも両種を見分けられる。イガオナモミは、 葉の鋸歯がもっとゆるやかになっているらしい。 |
前回のコメナモミのページにも書きましたが、オナモミの漢字は「耳」 と書かれていました。これはオナモミの果実の漢方での呼び名「蒼耳子」 (そうじしと読み解熱・鎮痛などに使用)から来ているものではないでしょうか。 名前の由来は、まだわたしを納得させるようなものは見つけられません。どな たか情報をお持ちの方がいらっしゃいましたら、よろしくお願い致します。 |
※解説文の作成にあたっては、主に山と渓谷社発行のポケット図鑑3、山渓 ハンディ図鑑1、保育社の検索入門「野草図鑑」4、小学館の Bookshelf 総合辞典を参考にさせて頂きました。 |
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