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真夏のミステリー
 
その1 この花は一体いつ咲くのだろう?
 

 
 1999年3月の末、 ある植物の分布を調べる為に、全く人の手の入らなくなった雑木林の中を歩き回っていると、地面から高さ 20〜30センチほどの黒い針金のような物体が出ているのを見つけた。何だろうと思って撮影し、色々な図鑑で調べてみたが、今一つ確信のもてる名前は分らなかった。
 

 
 
 

 
 それから4ヶ月ほど経った7月の末にまた見に行くと、何とキノコのように突然蕾をつけた新しい茎が出ているではないか。その生物には葉っぱが無かった。7月の初め頃には何も無かったのに……。  そして2、3日すると、白くて中央に突き出た花弁の先が紫色をした小さな花が咲き出した。
 

 
 
 

 
 どうもこの謎の生物は、クロムヨウランという葉のないランで、腐生植物という仲間のひとつらしい。感激!、というのもこのラン科の植物を写真入りで載せている本は今迄に2冊しか見たことがないからだ。ただそれだけのことで、本当にどれ程珍しいのかはよく判らない。それで八王子の上恩方にお住まいの植物の専門家菱山忠三郎先生にお尋ねした。菱山先生は「点々とは見られるものの、とても珍しい植物。すぐに見に行きたい。」と電話口で言われるので、翌日早速現場へご案内した。幸い一輪花が咲いていて撮影して頂ける。地べたに腹ばいになり、何十匹と押し寄せる蚊の大群にもめげず、同行された息子さんを助手とされてカメラ、レンズ、ストロボを何回も取り替えながら何十枚もの写真をあっという間に撮られてしまった。その熱心さに大いに驚く。菱山先生の著書の中で私が一番好きな『高尾山 花と木の図鑑』の本にサインして頂いた。
 

 
 

 
 ところがその2日後に植物がご専門の別な方お二人をご案内したところ、あいにく花は咲いておらずがっかりして帰られたお二人を見て「一体この花はどいうふうに咲くのだろうか。」という疑問が湧き上がってきた。そしてその日8月9日から最後の花が終わった9月1日迄、私は毎日山に登りクロムヨウランを観察することとなってしまった。
 
その2へつづく
 

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