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今日は。 ハンノキは平地の湿地などを好む樹ですが、戦後の近代化、即ち、治水事業の急速な増大、おびただしい河川堤防の設置のなかで、関東地方では急速にその姿を減らしています。 そんなハンノキがまだ手付かずに残されているところがあると聞き、思い立って捜しにいってきました。 東北地方、栗駒山の近く、鬼首温泉のそばを流れる荒雄川、その支流に田代川が流れています。25000分の1、地形図「鬼首」を見ると、その川は標高差はなく、等高線がかなり広がっているところ、即ち平地または緩傾斜のところがあり、川の左岸はずいぶんと広葉樹が広がっています。 東北新幹線古川駅で陸羽東線に乗り換え、鳴子温泉駅で下車。バスに乗り継いで蟹沢というバス停から雪に降られて歩くこと約2時間、そこには案の定ハンノキの森が広がり静かに眠っていました。カラマツ、サワグルミ、ハルニレなどが少し混在するその森は、明るく雪に埋もれて春を待っています。 派手なことのなんにもない、訪れるひとの殆どいないハンノキの森ですが、そんなもりがこの国にあといくら残っているのか知る由もありません。 一人でその森に辿りついた時には雪もやんでくれて、日もさしてくれました。森の中でしばらく過ごし帰路についた途端また雪が降りだし、ずっと降られながらバス停まで戻ってきました。 瓜田洋治
2002年3月29日 |