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真夏のミステリー

その3 インターバル撮影の結果は?

このページは、(その1)(その2)からの続き物です。初めてご覧に
なられる方は、
(その1)からご覧なられることをお勧めいたします。

※インターバル(interval)撮影 = ある一定の間隔をおいてする撮影。



 翌朝早く行ってみると、落雷による停電があったために、撮影はその時刻で

停止していた。しかし、泥跳ねはあったもののカメラには異常はなし。そして

無事に最後の花が咲いた9月1日迄撮影することができた。その結果撮影した

クロムヨウランの花はどれも夜明けとともに開花を始め、そのピークは午前7

時から10時の間、そして普通午後1時か2時、遅くても4時頃迄には萎んで

しまう一日花であるというデータが出てきた。人をお呼びして撮影して頂くに

は、前の日に今にも開花しそうな蕾を確認した後、午前8時から9時頃にお呼

びするのが一番よいと分った。



1999年8月26日午前5時から午後4時までを1時
間おきに撮影した結果です。中央一番上の蕾にご注目

 
午前5時
 
午前6時
 
午前7時
 
午前8時
 
午前9時
 
午前10時
 
午前11時
 
午後12時
 
午後1時
 
午後2時
 
午後3時
 
午後4時



開花の様子を連続でご覧になりたい方はここをクリッ
クして下さい。全12枚 、download 時間40秒弱です。
1枚は11KBほどですが、画面の切り替わる3秒以内に
画像の download ができないと表示されません。比較的
download の早い時間帯にご覧ください。
......


 

 蕾と花柄のように見える部分(実はこれは子房)は、始め人が万歳をした形

のように上を向いている。開花寸前に蕾が少し横向きになり、花が萎むと今度

は子房がねじれて弥次郎兵衛のように下向きにカーブし、その先に萎んだ花が

垂れ下がる。その萎んだ花は約4日間経つとぽとりと落ち、下を向いていた子

房は上を向いてピンと立ち上がる一週間程すると子房は少し膨らんで縦に溝が

入り艶のある黒色になる。そしてそこに種子ができる。花柄のような子房に種

子のできる様子は、よく庭に植えられているシラン(紫蘭)で、ご覧になった

方も多いと思います。



クロムヨウランの図解は
ここをクリックしてください。








 クロムヨウランの生えている場所は、戦後全く人の手が入らなくなった、い

わゆる雑木林と呼ばれる落葉広葉樹のクヌギやコナラを主体とした林で、林床

には落ち葉や枯れ枝そして倒木が多く堆積し、周辺にはキシメジ科のハリガネ

オチバタケやイグチ科・テングタケ科のキノコが多く生えています。

 尾根の南側のやや東を向いた斜面を少し下って行くと、1メートルほど離れ

て2株生えています。1999年に出た茎は2株合わせて5本で、ひとつの茎

に10個前後の花が咲きました。1999年夏のクロムヨウランの詳しい観察

記録をご覧になりたい方は、ここをクリックして下さい。

 観察の動機は、ただ単に人をお呼びした時に花が咲いていなかったというこ

とで、いつ花が咲くのかを知りたくなり徹底的に観察しました。しかし、とて

も珍しい植物らしいので、少しきちんとまとめてみました。学問的なことに関

心のない人にも楽しめるように工夫をしましたが、そうなっているかどうか、

またこの分野に詳しい人達にとって満足の行く内容かどうかは疑問です。この

観察とその記録をまとめるにあたって、東京農工大学の土器屋由紀子教授、富

沢実技官のご理解とご協力がなければ、このようなページはおろか、クロムヨ

ウランを見つけることさえできなかったと思っています。ありがとうございま

した。

※ 後日菱山忠三郎先生から、山渓ハンディ図鑑2『山に咲く花』のクロムヨウ

ランの記述で、『夕方から朝方にかけて全開する』の部分を新たに印刷する版

より削除しましたとのご連絡をいただきました。





前年と同じかと思われた開花に思わぬ変化が待っていた
次回は2000年の観察結果の報告です。

その4につづく


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