Tくん救出その後2 最終回

酒は飲んでも呑まれるな!

日常的にお酒は飲まないわたしには関係無いことわざなんですが、今回のTくん救出に当たってつくづくそうだなと感じた。Tくんは、T信用金庫に定年退職するまで勤め上げそれなりの退職金もいただいたであろうことから、定年退職するまで普通に仕事ができる状態だったのだろうな。それが今ではお世辞にもまともとは言い難い状態だ。成田から日野の自宅まで送り届ける最中にも、ずっと「焼酎買ってきてくれ!」とうるさかった。

Tくんが言うには、彼の家にずっと置いてあった自転車が旅行中に無くなったのは盗まれたからだそうだ。

韓国から帰宅後3日目にわたしが近所をウォーキングしていたら、パトカーが近くを通った。Tくんが事故ったか? と思いパトカーの行く方向に行ってみたら、近くの公園に止まり子どもたちと警官がなにやら話をしている。耳をそばだてて聞いていると子どものひとりが変な男の人に自転車を盗まれそうになったと言っている。その変な男の人の様子を聞いていたら、正にそれはTくんだ。警官と子どもの会話に割り込み、それはわたしの知り合いのTくんのようだと話した。警官に彼の情報を伝え、わたしの住所氏名電話番号なども伝えておいた。

その日の夕方Tくんを尋ねるとちょうど帰宅していた。家に上げてもらって色々お喋りしている中で、「お前今日公園で子どもの自転車盗もうとしただろう?」と聞くと、「えっ、どうして知ってるんだ!」と言っていた。子どもたちの話では、Tくんが自転車に乗って行こうとするので、皆で泥棒~!っと詰め寄ると慌てて逃げていったとのこと。ピンクっぽい色の上着を着て、ズボンが下がってお尻が出ていたとか言っていたが、その時の彼の服装が正にそれだった。

自転車を盗まれて、色々行くところがあるのに歩いていくのは辛いので、失敬しようとしたとのこと。後で警察の人に連絡し、翌日彼が自宅にいる時に来てもらった。彼はパトカーに乗せられて警察署まで連れて行かれ、お灸をすえられた。

帰って来た彼を自動車に乗せ、自転車を買いに行った。中古でいいというので、リサイクルショップを何軒か見て回り、1万円ほどのものを購入した。ちょっと自宅まで距離があったので、今の彼が自宅まで乗って帰るのは無理と判断し一旦帰宅。かみさんに説明したら「今わたしが一緒に行って、乗って来てあげる!」というのでそうしてもらった。かみさんは毎日チャリで走り回っているので安心して頼めた。

翌朝既に自宅横に昨日買った自転車が置いてあったので、Tくんは驚いていた。最初は買った自転車にちゃんと乗れるか心配したが、体力もどんどん回復していき、普通に乗りこなせるようになったので安心した。

今回の騒動でつくづく感じたことわざ。『酒は飲んでも呑まれるな!』酒に呑まれて人生終わってしまった人は、大勢いるんでしょうね。日常的にお酒を飲まないわたしには、なかなか理解できませんが...

長々と読んでいただき、ありがとうございました。

Tくん救出その後 1

さて、Tくんは救出されたので目出度しなんたけれど、彼スマホを無くしてしまったので、契約先のワイモバイルショップに帰国翌日に行ったらしい。帰国翌日の彼の状態はと言うと、シミだらけの服を着て鼻を垂らしていた。

しかもワイモバイルショップは今予約しないと何もしてくれない。その場で追い返された模様。で、隣のドコモショップに行ったみたいだけれど、そこでも免許証を持っていなかったのか、住民票が無いと契約できないと言われたそう。

で、亀みたいにノロノロ歩きしかできないのに、歩いて市役所まで行ったが、5時を過ぎていたので何もできずに帰って来たと言っていた。いつもパソコン・スマホ教室で、スマホ契約をサポートしているわたしの出番である。
moto g53y 5g

とりあえずわたし一人でワイモバイルショップに行き、翌日の18時30分に予約を取ってきた。ちょうどパソコン・スマホ教室の生徒さんの一人が、moto g53y 5g を使わないと言うので譲っていただいた。

それにTくんのグーグルアカウントを新規で作って(以前のGメールアドレスは分かっているものの、パスワードは分からないとか言っていた)初期設定をしておいた。

当日は垂れた鼻を拭かせて何とか彼をワイモバイルショップに連れて行った。大体事情は説明しておいたので、電話番号が前と同じSIMカードを直ぐに再発行してもらえた。

その場で持参した moto g53y 5g に入れ通話の受信、発信のテストをした。韓国に置いてきたスマホは、その日も呼び出し音が鳴っていたけれど、新しいSIMカードが有効になった時点で使えなくなるとのこと。

ワイモバイルのSIMカード再発行手数料は、税込み 3,850円で、毎月の引き落とし先から落とされるとのこと。moto g53y 5g は元々ワイモバイルが契約とセットで安く販売しているスマホだから相性はいい筈だ。

Tくん救出その後2に続く

Tくん救出大作戦 その8

ちなみに今回わたしが韓国にいるAくんにかけた電話代、クレジットカード会社への電話代、合計2時間16分59秒はすべて無料で済みました! 流石楽天モバイル!



韓国にいるAくん、韓国大使館の方に送信したショートメッセージ 96通の代金も、すべて無料で済みました! 流石楽天モバイル!



Tくん救出その後1に続く

Tくん救出大作戦 その7

帰りは日暮里から京浜東北線で東京駅まで行き、東京駅から中央線で豊田駅まで、豊田駅からタクシーに乗って自宅まで彼を送り届けた。彼を自宅まで送り届けてハッピーエンドと言うところだが、私にはまだやらなければいけないことがいくつかある。

先週、大使館の方に言われて彼のクレジットカード情報を彼のスマートホンに送信したが、そのスマートホンを彼が紛失してしまったために、そのクレジットカードを停止し、番号を変えて再発行してもらう必要が出てきた。そうしないと、スマートホンを取得した者が、スマートホンの中のクレジットカード情報に気づき、カードを使う危険があるからだ。

ほぼ1ヶ月ぶりに我が家にたどり着いた彼は、家に着くなり焼酎を飲んでテレビを見、クレジットカードの停止手続きなどどうでもいい状態だ。とりあえず今日はわたしも帰宅した。翌日出直したが、彼は彼でお金をおろしたり、電気やガスの支払いをしなくてはということ最優先のようで、クレジットカードの停止など眼中にない。

帰宅後3日して、結局彼のしたいことをまず手伝わないとこちらのしたいこともできないと分かり、お金をおろしたり、電気やガスの支払いのために彼を車に乗せて走り回った。その時聞いて分かったのだが、彼は帰宅した翌日にまだ歩くこともままならない状態なのに車に乗ったようだ。直ぐに事故って車はレッカー車で持っていかれたと言っていた。

ひとまず彼のお手伝いをしたので、こちらの要望である彼の2枚のクレジットカードの停止と再発行をさせてもらえた。この手続きをした者ならお分かりと思うが、この手の手続きは必ず本人が電話口に出ないとできない。

クレディセゾンのカードは、大使館の人が旅券を購入した時点でわたしが電話をし、事情を説明してクレジットカードの停止をお願いしたら、一時停止という形ながらも対応してもらえた。もう一枚のイオンカードの方は、事情を説明しても本人でないとの一点張りで全く相手にしてもらえなかった。

同じ緊急事態での対応から、クレディセゾンの方がイオン銀行カードよりも対応が柔軟で優れていることが良く分かった。何か不正利用されたとか、紛失したとかの場合の対応でカード会社の良し悪しがよく分かる。

Androidのスマートホンに詳しい者なら分かると思うが、スマートホンにロックをかけないで使っているお年寄りは多い。彼のスマートホンも以前見せてもらったが、ロック無しで使っていた。彼が自分のグーグルアカウントのパスワードを知っていれば、遠隔操作で紛失したスマートホンにロックをかけたり初期化したりできるのだが、グーグルアカウントって何だとか、パスワードなんて設定した覚えないなんていう人もけっこう多い。

その8に続く

Tくん救出大作戦 その6

何しろもう何年も前に現役を退いているものだから、電車に乗ることなど年に数回あるかないかだ。新宿までは予定通りに行ったものの、山手線に乗り換える時に1本乗り遅れてしまった。それが祟って指定席券を予約したスカイライナーは、ホームへ駆け上がったとたんに出発してしまった!

仕方なくまた指定席券を買い直し、1本遅れたスカイライナーで成田へ。成田へは生まれて初めて行ったので、第1ターミナルがどこにあるのかもよく分からない。案内の人に教えてもらった通りに一度外に出て、シャトルバスに乗った。

シャトルバスから降りて第1ターミナルに入り、近くにいた警官に尋ねると、この先をちょっと行ったところが南ウイングとのこと。言われた通りに進んでいくと待合室のようなところがあり、ちょうど彼がCAさんが押す車椅子に乗せられて、わたしに手を振りながら進んでくるではないか! なんというタイミングの良さ!

それにしても東京都日野市の自宅から成田空港に行く時間と、韓国ソウルの仁川国際空港から成田までの時間が同じとは。飛行機は速い! また鉄道会社の、車椅子の乗客に対するサービスの良さにもびっくりした。到着する各駅に車椅子を用意した駅員さんが待機していて、乗り降り、乗り換えをサポートしてくれた。ありがとうございました。

在大韓民国大使館員Kさん、色々とありがとうございました。お疲れさまです。


その7に続く

Tくん救出大作戦 その5

大使館の方のお話では、彼が過去何回か大使館に来たのは、すべて韓国の警察官に日本人ホームレスとして連れてこられたとのことなので、彼は自力で大使館に行くことができなかったようだ。

6日土曜日、7日日曜日は、彼に何度も電話をしたが、一切彼が電話に出ることはなかった。8日月曜日も、午前8時50分と10時25分に電話をかけたが、呼び出し音はなるものの彼が電話に出ることはなかった。

今一度ショートメッセージで、日本大使館へはGoogleマップを起動して『ソウルツインツリータワー』と入力して、経路をタップすれば行き方が分かるとかの情報を送り、メールには大使館周辺の地図画像も送っておいた。

そして大使館の開いた月曜日朝10時半頃に、前述の彼の状況をショートメッセージで報告したところ、大使館の方から「おはようございます。ご連絡ありがとうございます。進展がありそうです! 少々お待ちください。」との返信が!

その後大使館から電話がかかってきた。韓国のホームレス収容施設から日本人ホームレスを収容しているとの電話連絡があり、どうもそれがTさんのようなので、今からその収容施設に行きますとのこと。

少ししてまた電話が。やはりTさんでしたとのこと。携帯電話は無くされて持っていないので、彼のクレジットカード情報を大使館のメールアドレスに送ってくださいと言われた。直ぐに送った。

以下大使館の方からのショートメッセージ
「確認しました!」PM01:11
「これで帰ってもらう予定です」PM01:20
「チケット取れました!」PM01:20
「成田1ターミナルに 18:15着です。OZ106便です。」PM01:33

彼は大分弱っていて、車椅子で空港に向かうとのこと。やはり成田まで迎えに行かないと、自力では自宅に帰れない。しかたなく自分も急遽成田に向かった!

その6に続く

Tくん救出大作戦 その4

彼とランチを食べている時の会話の中で、自分はお金はたくさん持っていると言っていた。別荘を買えるほどの貯金があると。それが本当なら彼のお金、もしくはクレジットカードが使えればいい訳である。

夜何回も彼に電話をかけていたら、運良く出たので「家に現金とかクレジットカードとかないの? あれば警察官呼んで立ち会ってもらって中に入り、おれが家の中から持ち出すから。」というと、あるとのこと。また、お前は信用しているから、警察官など呼ばなくていいと。そして鍵の隠してある場所と、現金、クレジットカードの入っているカバンのしまってある場所を事細かに説明した。

翌朝早速彼の家に行くと、確かに言われた場所に家の鍵、現金、クレジットカードの入ったカバンがあった。お~! これでかみさんに離婚されずに、彼を日本に戻すことができそうだと安堵した。自宅に戻り、かみさんとカバンの中をチェックすると、クレジットカード2枚と、封筒に入った現金32万円、それに預金通帳などなど大事なものが皆入っていた。

早速大使館に連絡すると、クレジットカードが使えるかチェックし、使えるようならその情報を彼のスマートホンにメールで送っておいてくださいとのこと。そして今日は金曜日なので、彼が大使館に来てくれればその日のうちにパスポートを発行(彼はパスポートも無くしていた)し、航空チケットを購入して日本に送り返しますとのこと。

午前11時頃彼がまた電話に出たので、大使館で帰国の手配をしてくれると説明し、早く大使館に行くよう伝えた。その時の受け答えでは、あと30分で大使館に着くとか言っていた。しかしその後待てど暮らせど大使館から彼が着いたとの連絡が入らない。

昼食後また彼に電話をしたところ出たのでなぜ早く大使館に行かないのかと言ったが、なぜか電話番号が分からないとか、わけのわからないことを言っていて埒が明かない。そしてとうとう大使館の閉まる時間になってしまった。大使館の人もずっと待っていたのに...。帰国は月曜日までお預けとなってしまった!

その5に続く

Tくん救出大作戦 その3

何しろランチに連れて行ってもらったお礼にと、27年前のお茶をよこす彼にお金を注ぎ込んだら、絶対に戻ってこないとかみさんは思っている! 分からないこともない。世の女性は皆そう思うだろう!

女性大使館員の方は、しきりにネットから航空機のチケットを買えるサイトの説明をしている。とりあえずその女性が本物の大使館員かどうかも定かではないので、下記の内容のメールを在韓国日本大使館宛に送信した。

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先程、大使館の方からご連絡いただきました◯◯です。 航空券をeチケットで購入する際に、わたしの方で5,000円程工面していただきたいとのお話ですね。日本のどこかの空港に着いたとして、そこから自宅までのお金も無いと自宅に辿り着けませんよね。もう少し詳しい説明が必要な様に感じます。
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それにしてもなぜわたしがお金を出さなければならないのか...
在大韓民国日本大使館のサイトにこのような説明があった。



できないことの一番目が 金銭の供与、立て替え及び支払い保証 だ。

彼の妹さんにも突っぱねられ、藁にもすがる思いでわたしに電話してきたのだろう。それにしても間抜けな話である。少し余分にお金を持っていったり、クレジットカードを持っていったりすれば起こらないトラブルだ。それよりも帰りの飛行機に乗り遅れさえしなければ起こらないトラブルだ。

後になってつくづく分かったことだが、彼は重度のアルコール中毒患者のようだ。そのせいで彼の行動は常識では理解できないことばかりだ。

その4に続く

Tくん救出大作戦 その2

今までの情報を整理すると、彼は少なくとも3月17日よりも何日も前に韓国に行き、帰れなくなっている。それが3月28日の電話での会話で判明。韓国にいるとなると、彼への電話は国際電話になるのか? 電話代かさむのか? その後彼にはショートメッセージで、日本大使館の住所、電話番号、サイトのリンクなどを送ったがなんの返信も無かった。

その後何回も電話したが、圏外状態が続いていた。そして一週間ほど経った4月4日、とうとう韓国の日本大使館から直接わたしに電話がかかって来た!

「もしもし韓国の日本大使館員のKと申します。実は◯◯さんのお知り合いのTさんの件でご相談がありお電話いたしました。」女性大使館員の声。「Tさんは韓国から帰国の際に飛行機に乗り遅れ、その後飛行機に乗るチケット代がなく韓国で野宿生活をしておられます。なんとか帰りのチケットをそちらで予約し、こちらにメールで送っていただけませんでしょうか?」といったような内容だった。

すかさず「なんでわたしなんですか? 妹さんがいらっしゃるでしょう?」と質問。「妹さんには既に電話でお願いしたのですが、兄とは一切関わりを持ちたくないと断られてしまいました。」と女性大使館員。どうも彼がその女性大使館員にわたしからのショートメッセージを見せたらしい。それでわたしの電話番号が分かったらしい。

うちで既にTくんの件は、かみさんとの会話の中で話していて、かみさんは「Tくんにお金を出すようなことになったら、離婚だからね!」と念をおされている。そのことを女性大使館員の方にも説明した。

その3に続く